高校演劇 名古屋第三地区大会

公開日: 2015年7月30日木曜日

高校演劇観てきました。想像以上に面白くてぶっ飛ばされたので感じたことなど、思いつくまま書きなぐってみます。推敲とかしない!

以下ネタバレしまくってます。





昭和高校「110℃」

あらすじ
対立する二国、ずーっと暑い「陽の国」と、ずーっと寒い「陰の国」の間の物語(説明が雑)。
陽の国の少年シスイは、好奇心と半ば無理やり爺さんに背中を押されて陰の国に旅立つ。陰の国の寒さに耐えられず倒れるシスイは、陰の国の少女サナに助けられ一命を取り留める。陰の国と陽の国は同じ神を崇めていたが、そこでシスイは聖典の中身が異なっていることを知る。二国間の対立が勘違いに端を発していることに気がついたシスイは、誤解を解いて両国の争いを止めることを決意する。


同じセットで照明の変化によって陰と陽の国を表現したり、各国の衣装を統一し、混血児は衣装をバラバラにするなど、表と裏というテーマを舞台全体でダイナミックに表現していて圧巻でした。衣装のクオリティもかなり高かったと思いました。
全体はシリアスで前半は説明も多かったものの、程よくウンコで笑いを取り、爺さんの死~子供の成長をダンスに乗せてあっさり消化した展開は非常に巧みでした。その後はストーリーと演技で魅せる潔さ。素晴らしいの一言でした。

同一神を信仰しながらも対立する姿はやはりイスラム教やキリスト教、ユダヤ教を意識したものでしょうし、シスイとサナが混血児アキトの刃にかかるシーンは、日本人ジャーナリスト殺害を彷彿とさせるものでした。けれど残酷な現実をつきつけながら、シスイとサナの娘アキが、両親を殺したアキトを許し、憎しみの連鎖を断ち、未来への希望を信じたラストシーンは、本当に美しいものでした。
それは、世界への疑問や悲しみを持ちながら、未来を模索することを決意した彼ら高校生の心意気なんだろうと思いました。アキ役の女優さんはラストシーンが最高によかったんですが、踊りもうまく、大きな劇場で主役を演じられるスケール感がありました。女優をやるかはわかりませんが、これから先が楽しみです。

それと、この作品からはこの問題から目を逸らすな、考え続けろっていうような、観客への挑戦のようなものが感じられた気がして、ドキリともしました。



大同高等学校「交番へ行こう」

交番を訪れる人間模様を描いたシチュエーションコメディ。
トイレの詰まりと格闘している手塚巡査長が散々わめいた挙句、スッポンを持って登場するところからはじまります。またウンコです。高校生=ウンコ。なんだろうこの安心感。
まず驚いたのが巡査長の演技があまりに自然で、 かつ笑いどころを押さえていて、まるで円熟した俳優のような落ち着きがありました。他にも小学生から老人まで幅広いキャラクターが登場し、どのキャラクターも造形がしっかりしていて、容易に作品世界にのめり込むことができました。老人とか、見ただけで笑った。この高校タレント揃いすぎじゃないですかね。
思う存分遊んで笑いを取りながら、途中でふてぶてしい万引き少女がやって来てからは主軸のストーリーが動き出します。
若い日下部巡査は少女を諭そうとしますが、青臭い正論めいた主義は少女には受け入れられず、かえって自分の浅薄さを露呈するばかり。少女からは見下げられ、大人からは「しょうがねぇなぁ」という目で見守られ、落ち込み、悩み、それでも少女に体当たりでぶつかります。と、そこへ少女の姉から電話が入り、父が入院して危ない状態だと知らされます。父を拒絶しようとする少女を、巡査は自転車の後ろに乗せ、全力疾走。信号を無視し、ついには空を飛び、少女が病室で父を呼ぶところで幕が降りました。

ともかくこのラストシーンが最高だった・・・。
ステージ中央に自転車を置き、スタンドを立てて自転車を全力をこぐ。周りの声で状況を説明するという単純な仕掛けではありますが、全力でチャリを漕ぐ高校生がかっこよくないわけないじゃないか!!というのは大前提。それと、スタンドを立てた自転車のペダルは当然空転するわけです。その姿は若い思想主義の日下部巡査の姿そのものに見えました。けれど、人のためにペダルを全力で漕ぎ続け、ついには空を飛んだのです。そうだ、常識なんか超えていけばいい。そんなはみ出るエネルギーがそこにはありました。そして、ちょっと力入れすぎてスタンドがハズれるアクシデントが。最後は逆回転でペダルをこいだり、必死な姿もまた素敵でした。

この作品で突出してよかったのは演出かなと。
幅広い個性的なキャラクターをまとめる手腕はかなりのセンスの持ち主だと思います。空間感覚が鋭そう。

演出家さん、終演後の質問タイムでひとり現れたんですが、喋りがあんまりうまくないのもまたよかった(何)
今後も作品で訴え続けて欲しいと思いました。




いやー、高校生ってすごいなぁ・・・。
明らかに自分より面白い役者がどんどん出てきて、少し胸が苦しくなったよ・・・。


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